「仕事の依頼いらいメールを送ったけど、相手からなかなか返信が来ない……」

「丁寧に書いたつもりなのに、相手に冷たい印象をあたえてしまった気がする……」

日本で働いている、あるいは日本の企業とやり取りをしている日本語学習者の方で、このようななやみを持ったことはありませんか?

日本語のビジネスeメールには「クッション言葉」という言葉があります。

最初は「どうしてこんなに遠回とおまわしな言い方をするの?」と感じるかもしれませんが、このクッション言葉は、日本の会社では「信頼関係しんらいかんけいきずくため」に重要な役割をしています。

そこで今回は、なぜクッション言葉を使うと、仕事がスムーズに進むのか、また実際にクッション言葉を使ったメール例なども紹介しています。

この記事を読んで「心に届く日本語」でビジネスeメールが書けるようになってもらいたいと願っています。

【こんな人に読んでもらいたい】

  • クッション言葉を学びたい人
  • 失礼のないビジネスeメールが書きたい人
  • 正しいクッション言葉の使い方を知りたい人

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どうして「クッション言葉」が必要なの?

日本語学習者さんの中には「どうして本題ほんだいに入る前に、こんなに長く丁寧ていねいな言葉を使うの?」と感じる人も多いはずです。

英語などの言語では、要件ようけん簡潔かんけつに伝えることが「効率的こうりつてきで良いビジネススキル」とされることが多いですよね。

しかし、日本語のビジネスコミュニケーションにおいて、「クッション言葉」は円滑えんかつな人間関係をきずくためのものです。

直接的ちょくせつてき表現ひょうげん」のリスク

日本は、言葉にしなくても文脈ぶんみゃくで理解し合う「高コンテクスト(High-context)」の文化の国です。

そのため、はっきりと要求ようけんだけを伝える表現は、受け手に「きつい」「冷たい」「攻撃的こうげきてきだ」という印象をあたえてしまう可能性かのうせいがあります。

例えば、資料しりょう修正しゅうせいたのむ時に、

資料しりょう修正しゅうせいしてください。」

と送った場合、文法的ぶんぽうてきにはOKですが、相手は「自分の仕事が否定ひていされた」「命令めいれいされた」と感じてしまうかもしれません。

ここにクッション言葉をえることで、その「衝撃しょうげき」をやわらげることができます。

敬意けいいと「心の距離きょり

クッション言葉には、相手との「心理的しんりてき距離きょり」をたもつ役割があります。

仕事をしていると、相手に何かをお願いしたり、あるいは期待に沿えない回答をしたりすることがありますよね。

その際、相手の立場(忙しさ、都合つごう、感情)をあらかじめ「推測すいそく」し、それを言葉にすることで、「私はあなたの状況を理解し、配慮はいりょしていますよ」というメッセージを伝えます。

  • 「お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが」 = あなたが忙しいことを分かっています。
  • 「お力えをいただきたいのですが」 = あなたの能力をたよりにしています。

このように、本題ほんだいの前に相手を尊重そんちょうする一言を書くことで、その後の本題(依頼や断り)を相手が受け入れやすい状況を作ることができます。

海外と日本文化のけ橋

グローバルビジネスにおいて「スピード」や「効率こうりつ」が重視じゅうしされるのは当然です。

しかし、日本企業との取引において「効率こうりつ」だけを優先ゆうせんしすぎると、かえって「信頼関係しんらいかんけい構築こうちく」に時間がかかかってしまうかもしれません。

日本で言う「仕事の効率」には、「相手を不快にさせないことで、余計よけいなトラブルや感情的な摩擦まさつける」という意味もふくまれています。

クッション言葉を使いこなせるようになると、「この人は日本のビジネスカルチャーを理解しており、配慮はいりょができるプロフェッショナルだ」と信頼をることができます。

クッション言葉は「遠回とおまわり」に見えて、実は目的地もくてきち合意ごういや協力)にたどり着くための近道ちかみちなのです。

基本のクッション言葉

クッション言葉は、大きく分けて「依頼」「お断り」「確認」の3つの状況で使い分けます。それぞれのシーンで、よく使われるフレーズを紹介します。

依頼

相手に何かを頼むときは、「相手の時間をうばうこと」への申し訳なさを伝えるのが日本のマナーです。

フレーズ ニュアンス・使い分け
お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが 一番使われる。相手が忙しいと推測すいそくして、依頼する時。
お手数をおかけしますが 作業さぎょう手間てまが発生することに、申し訳ないと思う時。
多忙たぼうとはぞんじますが 「お忙しいところ〜」のよりフォーマルな表現。上司じょうし社外しゃがいへ。
つかえなければ 「もし嫌でなければ」「プライバシーに触れるかもしれないが」という配慮はいりょ

後に続く文には「〜してください」はあまり使いません。

「~してください」は少し強い印象です。

【例】

  • お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが、ご対応たいおういただきますでしょうか
  • お手数をおかけしますが、ご修正いただきますようお願いいたします

断り

相手の期待にこたえられない時、ストレートに「できません」とは書きません。

まずはクッション言葉で「本当は受け入れたいのですが」というニュアンスを伝えます。

フレーズ ニュアンス・使い分け
あいにくですが 期待に沿えない状況(在庫がない、予定があるなど)を伝える時。
せっかくのおもうし出ですが さそいや提案ていあんを断る時。相手の親切心しんせつしんを受け止める表現。
大変心苦こころぐるしいのですが 本当に断りたくない、申し訳ないという気持ちがある表現。
ご期待に沿えず恐縮きょうしゅくですが 依頼をことわる、または希望通きぼうどおりの結果が出せなかった時。

お断りの後は下記の様な言葉などを添えるとより良いです。

  • またの機会きかいに、よろしくお願いいたします。
  • また何かございましたら、お気軽きがるにご連絡ください。

確認

質問や確認は、言葉によっては「相手をうたがっている」あるいは「めている」ように聞こえてしまうかもしれませんので、注意しましょう。

フレーズ ニュアンス・使い分け
ねんのため確認ですが 相手が知っていると推測すいそくし、もう一度聞く時。
失礼ですが /おそりますが 相手の氏名、連絡先など、少しんだことを聞く時。
私の理解不足りかいぶそくで申し訳ないのですが 「あなたの説明が分かりにくい」のではなく「自分が分かっていない」と下に出る時。

クッション言葉は、文の最初(文頭)に書きます。

  • 【NO】会議の資料を送ってください、お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが
  • 【OK】お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが、会議の資料をお送りいただけますでしょうか。

クッション言葉を使ったメール例

基本を学んだところで、実際にどのように文章を組み立てるか見ていきましょう。

依頼

自分の都合つごう相手を急がせてしまう時のメール例

件名: 資料修正しりょうしゅうせいのお願い

〇〇様

いつもお世話になっております。○○です。

この度は、一点お願いがありご連絡いたしました。

多忙たぼうの中おそりますが、先日お送りいただいた資料ですが、一部修正いちぶしゅうせいをお願いしたくぞんじます。

急なお願いで大変恐縮たいへんきょうしゅくですが、本日17時までにご対応たいおういただくことは可能でしょうか。

手数てすうをおかけいたしますが何卒なにとぞよろしくお願いもうし上げます。

「ご多忙たぼうの中」「急なお願いで大変恐縮たいへんきょうしゅくですが」「お手数をおかけしますが」の言葉で、急がせて申し訳ないという気持ちと、すぐに対応してほしいという丁寧なお願いの気持ちが伝わります。

断り

相手からの依頼を丁寧ていねいことわ時のメール例

件名: ご提案いただいたプロジェクトの件につきまして

〇〇様

いつもお世話になっております。○○です。

先日は貴重きちょうなご提案をいただき、まことにありがとうございました。

社内で慎重しんちょう検討けんとういたしました結果、まことに残念ながら、今回は見送みおくらせていただくこととなりました。

せっかくのおもうし出におこたえできず、大変心苦こころぐるしいのですが何卒なにとぞご理解いただけますようお願いいたします。

また機会きかいがありましたら、その際はどうぞよろしくお願いいたします。

最初に相手への感謝の言葉を書き、その後、クッション言葉を使いながら、相手を気遣きづかって断っています。

また、最後に「また機会がありましたら」とあり、より丁寧ていねいことわりのメールです。

催促とくそく

相手から返信が中々来ないため、「連絡ください」という内容のメール例

「返信していませんよ」と責めるのではなく、「状況を確認したいです」という内容で書きます。

件名: 【再送】お見積書みつもりしょの確認につきまして

〇〇様

お世話になっております。○○です。

お忙しいところ恐縮きょうしゅくですが、先日お送りした見積書みつもりしょの件、その後の進捗しんちょくはいかがでしょうか。

行き違いですでにご対応いただいておりましたら、申し訳ございません。

大変恐れ入りますが、お手すきの際にご返信をいただけますとさいわいです。

「行き違い(すでに送っていたらごめんなさい)」という言葉を使う事で、相手への気遣いを見せます。

注意点

クッション言葉の重要性を理解しているからこそ、してしまいがちな間違いに注意しましょう。

使いすぎ

丁寧にしようと思っても、1つのメールにたくさんクッション言葉を使うのは良くありません。

クッション言葉は、メールの中で「重要なお願い」の前や「最後の言葉」として使うのが良いです。

また、特に使う必要のない時に、丁寧にしようと思ってクッション言葉を使うのも、注意が必要です。

謝りすぎ

「申し訳ございませんが」や「すみませんが」の使い過ぎも、いつも謝っている人と思われ、相手があ棚に対して、悪い印象を持ってしまうかもしれません。

「申し訳ございませんが」は、本当に謝る時や、相手に迷惑が掛かる時などに使います。

そうでない時は、「恐れ入りますが」を使うと良いです。

  • 恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いします。
  • 恐れ入りますが、ご対応いただきますようお願い申し上げます。

状況に合ってない

状況に合ったクッション言葉を使わないと、相手は混乱こんらんしてしまうかもしれません。。

例えば、「私の理解不足りかいぶそく恐縮きょうしゅくですが、ご確認のほどよろしくお願いします。」という文は、意味が分からなくなってしまいますよね。

ネットやAIなどで見つけたクッション言葉をコピーしても良いですが、メールの内容に合っているのか確認するようにしましょう。

まとめ

この記事では、ビジネスeメールでの「クッション言葉」の役割やくわりや、使い方について書きました。

最初は「言葉が多くて覚えるのが大変」「回りくどい気がする」と感じるかもしれません。

しかし、クッション言葉は単なる「マナーのルール」ではなく、「私はあなたと一緒に、気持ちよく仕事をしたいと思っています」という、相手への尊敬を伝えるための大切な言葉です。

クッション言葉には、相手との衝撃しょうげきやわらげたり、信頼をきずいていく重要な役割があります。

クッション言葉という「一言の思いやり」が加わるだけで、相手からの反応はきっと変わるはずです。

日本のビジネスシーンで、よりスムーズで信頼されるコミュニケーションを目指して、ぜひ明日からのメールに取り入れてみてくださいね。

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